超小型人工衛星「OPTIMAL-1」の通信確立と画像撮影などに成功

株式会社アークエッジ・スペース(本社:東京都江東区、代表取締役 CEO:福代孝良)は、2機目の超小型人工衛星である「OPTIMAL-1(オプティマル・ワン)」を地球周回軌道に投入した後、試験電波によって東京電機大学鳩山キャンパス地上局との通信を確認することに成功しました。本人工衛星は日本時間2023年1月6日に国際宇宙ステーションから放出されました。

OPTIMAL-1 放出の様子 ©︎JAXA/NASA

OPTIMAL-1は、2022年11月27日、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられ、SpaceXのドラゴン宇宙船で国際宇宙ステーションに輸送されていました。2023年1月6日、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟のエアロックから小型衛星放出機構(J-SSOD:JEM Small Satellite Orbital Deployer)を用いて宇宙空間へと放出され、無事に地球周回軌道への投入に成功しました。

放出後の一連の運用において、試験電波による双方向通信を確立し、通信機、太陽光パネル、姿勢制御ユニットを始めとした主要機器、及び超小型「水」推進機、Store and Forward LoRa微弱通信機(S&F)、光モジュール、検証用のカラーカメラ等のミッション機器が正常に作動していることを確認しています。また、S&F用アンテナの展開も正常に完了しており、それを用いた試験電波でのデータアップリンク・ダウンリンクにも成功しております。

 

放出32分後にOPTIMAL-1の検証用カラーカメラが初めて撮影した画像(今後実証予定の超小型ハイパースペクトルカメラによる画像ではありません) ©︎福井大学/アークエッジ・スペース

今後、1ヶ月程度の初期運用を行ったのち、超小型推進機の実証、衛星上での高度情報処理(エッジコンピューティング等)、超小型ハイパースペクトルカメラ、IoT向け長距離・低電力な通信装置などの各種実証実験を行う予定です。詳細につきましては、今後当社ホームページ等にて報告いたします。

OPTIMAL-1について

当社は、2019年に経済産業省の産業技術実用化開発事業費補助金(宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業)に採択され、「TRICOM衛星による超小型推進系・通信装置及び軌道上高度情報処理技術の実証事業」をテーマとして超小型人工衛星OPTIMAL-1の開発に取り組んで参りました。

OPTIMAL-1は、2018年に軌道上実証した10cm×10cm×30cmサイズの3U汎用バスの機能をさらに高めるための改良とその実証を行うとともに、(1) 超小型「水」推進機、(2) エッジコンピューティング、(3) 超小型ハイパースペクトルカメラ、(4) Store and Forward LoRa 微弱通信等の技術実証をメインミッションとしたマルチミッション衛星です。今後、世界の森林管理、農業、防災、物流、通信等に貢献することが期待されます。

株式会社アークエッジ・スペースについて

アークエッジ・スペースは、東京大学で培った超小型人工衛星の開発技術や利活用技術を元に事業化を行うことを目的として2018年に創業しました。現在、超小型人工衛星を中心とする多種類複数の人工衛星生産体制を構築し、超小型人工衛星、地上局整備、関連部品の設計・製作などのハードウェア事業に加え、人工衛星運用サービスの提供、関連するソフトウェア開発、教育・コンサルティングなどの各種事業を幅広く展開しております。

これまで、ルワンダ公共事業規制庁(RURA)にルワンダ衛星「RWASAT-1」を提供するなど、海外への衛星供給実績を有するほか、月へ向かう超小型探査機「EQUULEUS」の運用への参画、彗星探査ミッション「Comet Interceptor」における超小型探査機の開発など、地球周回軌道から月・深宇宙まで多数の開発・運用実績を有します。

今後は、IoT通信、地球観測、海洋VDES等に対応した人工衛星コンステレーションの構築を実現するとともに、月面活動にむけた衛星コンステレーション構築や深宇宙探査など、幅広いミッションに貢献する超小型人工衛星の開発及び実証に取り組んでまいります。