H3ロケット試験機2号機に搭載される超小型衛星TIRSATの地上局運用で貢献

世界最先端の超小型人工衛星の開発および実証をおこなう株式会社アークエッジ・スペース(本社:東京都江東区、代表取締役 CEO:福代孝良、以下「アークエッジ・スペース」)は、2024年2月15日(木)に打ち上げが予定されている日本の新型基幹ロケット「H3ロケット」試験機2号機(H3TF2)に搭載される超小型人工衛星「TIRSAT(ティー・アイ・アール・サット)」について、当社の牧之原地上局等を用いた初期運用及び定常運用に参画いたします。

TIRSATについて

TIRSATは、経済産業省の委託事業「令和2年度補正サプライチェーン強靭化に資する技術開発・実証事業(サプライチェーンの迅速・柔軟な組換えに資する衛星を活用した状況把握システムの開発・実証)」の採択を受けて、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構のとりまとめのもと、セーレン株式会社(福井県福井市)、国立大学法人福井大学、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 中須賀・船瀬研究室等で開発された3Uサイズ(12 cm×12 cm×38 cm)の超小型衛星です。今回搭載される「非冷却小型熱赤外センサ」は熱赤外を観測することができるため、大量の熱を放射する製鉄所の稼働を調査する等、経済活動モニタリングで活用を検討します。将来の危機に備える情報収集手段としての有効性を確認することが期待されています。
アークエッジ・スペースとしては、これまで当社が開発した衛星搭載用受信機の提供のほか、同衛星の通信系の開発支援等を行ってきました。

 

超小型衛星 TIRSAT

TIRSATの地上局運用で貢献

アークエッジ・スペースは、2024年2月15日(木)に予定されている「H3ロケット」試験機2号機の打ち上げ後、当社の牧之原地上局(静岡県)※を主とした地上局を活用した同衛星の初期運用及び定常運用を行います。定常運用移行後は、同衛星から送信される熱赤外画像データの地上での受信・利活用等で貢献していく予定です。

TIRSAT の地上局運用体制について
TIRSAT は、当社と、セーレン、福井大学、福井工業大学とで協力し同衛星の運用を行う予定です。受信局としては、当社の牧之原地上局のほか、東京電機大学及び福井工業大学の計3か所のアンテナ局を、通信所としては、アークエッジ・スペース通信所(当社有明本社内)及びセーレンの TPF 事業所(福井県坂井市)内に設置するセーレン通信所の2か所を利用して、軌道への投入後から人工衛星と受信局との通信確保(クリティカル運用)と、人工衛星の健全性の確認(初期運用)を約2週間かけて行います。問題がなければ定常運用に移行し、非冷却小型熱赤外センサ等の実証実験を開始する予定です。

アークエッジ・スペース牧之原地上局について

地上局(衛星管制用地上局)とは、衛星を運用するために必要な信号の宇宙に向けた送信や、衛星から地上に送信されてくるデータを受信・処理するためのアンテナを有する施設です。アークエッジ・スペースは、当社の衛星開発・運用を柔軟かつ効率的に進めるため、静岡県牧之原市に当社独自の地上局を整備しております。自社開発の衛星管制に加えて、他社の衛星開発・実証等の目的で地上局サービスの提供も予定しております。

牧之原地上局概要
・ アンテナ高さ 10m
・ パラボラアンテナ径 3.9m
・ 対応周波数帯(Sバンドup/down、Xバンドdown only、 Kaバンドdown only)
・ 当社有明本社と高速専用回線を接続。遠隔での衛星運用が可能

牧之原地上局概要

TIRSATに搭載される熱赤外センサについて

TIRSATには、株式会社ビジョンセンシングが開発した「非冷却小型熱赤外センサ」が搭載されており、地表や対象物の熱の変化を測る熱赤外(Thermal InfraRed)を観測することができます。今回の軌道上実証では、この熱赤外カメラによる遠赤外領域の計測を行います。(高感度モード:8-14μm帯、波長限定モード:10.5-12μm帯の選択が可能)
熱赤外センサによって地表面や海上面の温度分布を測定することで、ヒートアイランド現象の解明や黒潮や親潮といった海流変動の調査、森林火災の検知や、火山監視、火山噴火の緊急撮影等での活用が期待されています。また、大量の熱を放射する製鉄所の稼働を調査するなど、経済活動のモニタリングでの応用も検討します。将来の危機に備える情報収集手段としての有効性を確認することが期待されています。

株式会社アークエッジ・スペースについて

アークエッジ・スペースは、世界最先端の超小型衛星コンステレーションの企画・設計から量産化、運用まで、総合的なソリューション提供を幅広く展開しているベンチャー企業です。事業分野は多岐にわたり、衛星データ利活用によるソリューション提供、超小型衛星関連の部品・コンポーネント・ソフトウェアの開発製造、地上局の整備・運用なども手がけています。
“誰もが衛星によるビジネスが可能な未来を”目指し、今後はIoT通信、地球観測、海洋VDES等に対応した人工衛星コンステレーションの構築を実現するとともに、月面活動にむけた衛星コンステレーション構築や深宇宙探査など、あらゆる宇宙ニーズに応える事業モデルにより誰でも手が届く宇宙の開発利用を推進します。

参考URL

経済産業省HP「令和2年度補正サプライチェーン強靭化に資する技術開発・実証事業」
(サプライチェーンの迅速・柔軟な組換えに資する衛星を活用した状況把握システムの開発・実証)
https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo/2020/k200501001.html

セーレン株式会社プレスリリース
セーレン開発・製造の超小型人工衛星「TIRSAT」が2月15日にH3ロケット試験機2号機での打上げ決定
https://www.seiren.com/news/2024-01-102.html