アークエッジ・スペース、 JAXA「低軌道測位衛星システム(Dedicated LEO PNT)の 要素技術及び関連するシステムの検討」を完了 ~既存GNSSに依存しない頑健な衛星測位システムの構築に向け、技術要素とシステム全体像を整理~

LEO-PNT衛星コンステレーション(コンセプトイメージ)

超小型衛星コンステレーションの企画・設計から量産化、運用まで総合的なソリューション提供を行う株式会社アークエッジ・スペース(本社:東京都江東区、代表取締役 CEO:福代孝良、以下「アークエッジ・スペース」)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの2025年度委託事業「低軌道測位衛星システム(Dedicated LEO PNT)の要素技術及び関連するシステムの検討」を完了したことをお知らせいたします。

低軌道測位衛星システム(以下「LEO PNT」※1)は、高度約20,000kmの軌道を周回する既存のGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球衛星測位システム。GPSが代表例)に比べて20分の1ほどの高度500~1,200kmの低軌道を周回する超小型衛星コンステレーションによって、地球上の物体の位置や正確な時刻を知るために必要な情報をグローバルに提供することが期待される新たなシステムです。
※1 LEO:Low Earth Orbit、地球低軌道
  PNT:Positioning(位置)、Navigation(航法)、Timing(時刻決定)

近年、既存GNSSは位置情報を知るための重要な情報源となるとともに、金融、通信、電力等の分野で精密な時刻同期をするための「基幹インフラのための基幹インフラ」としての重要性を増しています。一方、近年の安全保障環境の悪化に伴い、妨害(Jamming)や欺瞞(Spoofing)の妨害活動も多く見られるようになり、対応が喫緊の課題となっています。

本事業では、こうした課題に対応し、妨害活動等により既存GNSSが利用できない状況でも、GNSSに依存せずに位置・時刻情報を提供できる頑健なLEO PNTの実現に向けて、必要な要素技術、信号設計、受信技術、システムの全体像について検討・整理を行いました。

特に、既存GNSSに依存せずに低軌道測位衛星の軌道時刻決定を実現することは、本事業における重要な技術課題の一つです。この課題の解決に向けて、本検討では、衛星の大型化・コスト増加に繋がりやすい大型原子時計の搭載を避けるため、地上に設置した精密時刻源(Pseudolites: 疑似衛星が一例)からの情報を衛星間光通信により共有し、軌道上での時刻同期を実現する新たな軌道時刻決定のアーキテクチャの検討も行っています。

あわせて、妨害対策の強化も念頭においた利用周波数の多様化、新たな信号設計や受信機仕様の検討、低軌道衛星に適した暗号化・信号認証の検討等も実施しています。これらを通じて、GNSSに依存しない、より頑健な位置・時刻情報サービスの実現に向けた次の検討・開発につながる成果が得られました。

■事業概要
名称:低軌道測位衛星システム(Dedicated LEO PNT)の要素技術及び関連するシステムの検討
目的:地上のユーザに対してGNSSの脆弱性に対応する頑健な位置・時刻情報(PNTサービス)を提供する低軌道測位衛星システムについて、要素技術及び関連するシステムの検討に関する前提条件と作業要求についてまとめる。
事業内容:
 ・LEO PNTシステム(GNSS-independent)の要素技術の検討・整理
 ・LEO PNT信号設計
 ・LEO PNT信号の受信技術の検討
 ・システム検討 他
事業期間:2025年9月~2026年3月
参考URL:https://stage.tksc.jaxa.jp/compe/zui/zuikaku/FY2025-0121.pdf

■本事業で得られた主な成果
1.GNSSに依存しない低軌道測位衛星の軌道時刻決定手法の整理
電波妨害等によりGNSS信号が一切使えない環境を想定し、GNSSに依存することなく衛星測位システムの機能を維持するために必要となる軌道時刻決定手法を検討しました。本検討では、地上のPseudolitesからの時刻情報(疑似距離情報)の送信、衛星間光通信を利用した軌道上精密軌道時刻決定等など、複数の手法を比較検討し、システム全体の最適化に向けた検討を深めています。

2.衛星コンステレーションの配置検討
頑健な位置・時刻情報(PNTサービス)を提供する低軌道測位衛星システムを実現するための衛星コンステレーションについて、サービス仕様や経済性等も考慮しつつ、衛星の軌道高度や衛星数、地上設備(Pseudolites: 疑似衛星が一例)の配置などを検討し、将来の低軌道衛星測位サービスに向けた現実的な構成案を整理しました。

低軌道測位衛星コンステレーションの配置検討

3.頑健な衛星測位システムを実現するために必要な周辺技術の整理
本事業では、これまでの衛星測位システムで信号送信の周波数として用いられてきたL帯に加えて、新たにC帯の利用も想定した検討を進めています。C帯利用は、ジャミング対策の強化、地上受信端末の小型化等の観点からも期待されており、本事業でもC帯対応の送信機、受信機、アンテナの整理等を進めています。また、信号の欺瞞(Spoofing)やサイバー攻撃への対策として、低軌道衛星に適した暗号化・信号認証の実証に向けた課題の整理等も行いました。

 

■株式会社アークエッジ・スペースについて
アークエッジ・スペースは、超小型衛星コンステレーションの企画・設計から量産化、運用まで総合的なソリューション提供を行う宇宙スタートアップ企業です。

“衛星を通じて、人々により安全で豊かな未来を”実現することを目指し、今後は地球観測、船舶向け衛星通信(衛星VDES)、光通信、低軌道衛星測位等に対応した超小型衛星コンステレーションの構築を実現するとともに、月面活動にむけた衛星インフラ構築や深宇宙探査など、多様なミッションニーズに対応する宇宙の開発利用を推進します。

本社所在地   :東京都江東区有明一丁目3番33号ドーム有明ヘッドクォーター3階
代表取締役CEO :福代 孝良(ふくよ たかよし)
設立      :2018年7月
WEB      :https://arkedgespace.com/

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